東海道新幹線の「のぞみ」は300系の運行開始とともに登場しました。それまで「こだま」「ひかり」のみの運行だったところへ、さらに速い種別が出来たことにより、日本中が湧きました。
では「のぞみ」という名前はどうやって決められたのでしょうか?
名前は委員会で決められた!
300系車両の登場時、名称選考委員が開かれていたそうです。その中に、「聞く力」がベストセラーとなったエッセイストで阿川佐和子さんがいました。阿川さんの父は鉄道好きで、「(国鉄)歴代の列車の名前はすべて大和言葉でつけられてきた」とのアドバイスを送っていました。
委員会では、「スーパーひかり」「希望」「つばめ」等の候補がありましたが、阿川さんが有力候補だった「希望」を大和言葉の「のぞみ」に変える提案を行ったことにより、「のぞみ」と決まったそうです。
ところで大和言葉って?
大和言葉とは、漢語や外来語ではなく、古くから日本にある言葉のことです。中国由来の漢語やカタカナ語である外来語以外の、訓読みで繰り出されるやわらかい印象の日本語です。
なので「スーパー」といったカタカナ言葉や「希望」といった熟語はそれまでの列車の名前らしくない、ということになるのでしょう。
受け継がれる「のぞみ」

2020年現在、「のぞみ」として定期運行している車両は、最新の「N700S」と「N700A」です。かつて「のぞみ」として活躍した500系は東海道新幹線では走っておらず、山陽新幹線の「こだま」としてわずかに残っているだけです。初代「のぞみ」の300系は2000年に、二代目の500系は2010年に、三代目の700系は2012年に引退しました。
次々と車両は新しくなっていきますが、「のぞみ」という名前にふさわしい活躍をこれからも見せてくれそうですね。